子どもにお墓を残さない「墓じまい」とは

墓じまいとは、墓石を撤去して墓地を更地に戻し、使用していた区画を霊園や寺院へ返還することです。

ただし、お墓を撤去するだけで終わるわけではありません。お墓の中に納められている遺骨を取り出し、永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、別の場所へ移す必要があります。

現在のお墓から別の墓地や納骨堂へ遺骨を移すことは、法律上「改葬」と呼ばれます。改葬を行う場合は、現在遺骨が納められている墓地の所在地を管轄する市区町村から、改葬許可を受けなければなりません。※3

墓じまいにかかる主な費用

墓じまいの費用は、墓地の広さ、墓石の大きさ、立地、遺骨の数、移転先などによって変わります。主に次の費用を確認しておきましょう。

墓石の撤去・区画の原状回復費用

石材店などに依頼し、墓石を解体・撤去して墓地を更地に戻します。重機が入れない場所や、山の斜面、通路の狭い墓地などでは、作業費が高くなる場合があります。

同じお墓でも業者によって見積もり内容が異なることがあるため、工事範囲や追加料金の条件まで確認することが重要です。

遺骨を取り出す費用

墓石を動かして納骨室を開け、遺骨を取り出す作業にも費用がかかる場合があります。遺骨の状態によっては、洗浄、乾燥、粉骨などを検討することもあります。

新しい納骨先の費用

取り出した遺骨をどこに納めるかによって、必要な費用は大きく異なります。個別のお墓へ移すほか、永代供養墓、納骨堂、樹木葬などを選ぶ方法があります。

当初の使用料だけでなく、年間管理料、個別に安置される期間、一定期間後に合祀されるかどうかも確認しておきましょう。

行政手続きや書類取得の費用

改葬許可申請の手数料は、自治体によって異なります。現在の墓地管理者から埋蔵証明書を発行してもらう際にも、手数料が必要な場合があります。

法要やお布施に関する費用

墓石を撤去する前に、僧侶へ読経を依頼する「閉眼供養」などを行う家庭もあります。法要を行うかどうかや、お布施の考え方は宗派、寺院、家庭によって異なるため、事前に相談しましょう。

寺院墓地から離れる場合に金銭の相談が生じることもありますが、法律で一律に定められた料金があるわけではありません。金額や内容に疑問がある場合は、その場で判断せず、家族や第三者へ相談することも大切です。

墓じまいの一般的な手続きと流れ

墓じまいは、墓石を先に撤去するのではなく、遺骨の移転先と行政手続きを確認してから進めます。一般的な流れは次のとおりです。

1.家族や親族に相談する

お墓には自分の親だけでなく、祖父母や親族の遺骨が納められていることがあります。墓地の名義人だけで決めると、あとから親族との行き違いが起きる可能性があります。

墓じまいを考えた理由、今後の供養方法、お参りできる場所を残すかなどを説明し、できる限り家族や親族の意向を確認しましょう。

2.現在のお墓の名義人と契約内容を確認する

墓地使用許可証、契約書、管理規則などを確認し、現在の名義人、遺骨の数、未払いの管理料がないかを整理します。

名義人がすでに亡くなっている場合は、墓じまいの前に承継手続きを求められることがあります。

3.遺骨の移転先を決める

改葬許可を申請する際には、遺骨を移す場所を記載します。そのため、原則として先に新しい納骨先を決めておく必要があります。

候補となる施設へ資料請求や見学を行い、費用、管理方法、お参りのしやすさ、合祀の時期などを比較しましょう。

4.現在の霊園や寺院へ相談する

墓じまいを決めたら、現在の墓地管理者へ事情を伝えます。寺院墓地の場合は、工事の直前に知らせるのではなく、検討段階から相談したほうが話を進めやすくなります。

あわせて、指定石材店の有無、工事可能な日時、区画の返還方法、必要書類などを確認します。

5.埋蔵証明書を取得する

現在の墓地や納骨堂の管理者から、遺骨が納められていることを証明する書類を発行してもらいます。自治体によっては、改葬許可申請書の所定欄に墓地管理者が記入する形式です。

6.市区町村へ改葬許可を申請する

現在のお墓がある市区町村へ、改葬許可申請書、埋蔵証明書、改葬先の受入証明書などを提出します。

申請者と墓地の使用者が異なる場合は、使用者の承諾書や委任状などを求められることがあります。必要書類は自治体によって異なるため、事前に窓口や公式サイトで確認しましょう。

7.墓石を撤去して遺骨を取り出す

石材店などへ工事を依頼し、遺骨を取り出して墓石を撤去します。必要に応じて閉眼供養を行い、墓地を管理規則に沿った状態へ戻します。

撤去工事では、見積書に墓石の処分費、整地費、運搬費などが含まれているか確認しておきましょう。

8.新しい納骨先へ遺骨を納める

市区町村から交付された改葬許可証を新しい墓地や納骨堂へ提出し、遺骨を納めます。納骨日時や必要な持ち物は、移転先の管理者へ確認してください。

9.墓地の区画を返還する

墓石の撤去後、現在の霊園や寺院で区画の返還手続きを行います。墓地の使用権を返還しても、契約時に支払った永代使用料などが返金されるとは限りません。返還条件は契約内容によって異なります。