「自分が亡くなったあと、お墓の管理を子どもに任せてよいのだろうか」と考える方は少なくありません。
お墓を残す場合、子どもには墓参りや清掃だけでなく、管理料の支払い、霊園や寺院との連絡、名義変更などの負担が生じる可能性があります。実家から離れて暮らしている場合や、お墓を継ぐ人が決まっていない場合は、将来的な管理が難しくなることもあります。
こうした事情から、自分の代でお墓を整理する「墓じまい」を検討する人もいます。厚生労働省の衛生行政報告例によると、遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す「改葬」は、2024年度に全国で17万6,105件行われました。2023年度の16万6,886件から増加しています。※1
ただし、改葬件数にはお墓の引っ越しなども含まれるため、そのすべてが墓じまいというわけではありません。それでも、お墓の維持や承継方法を見直す人が多いことを示す数字の一つといえるでしょう。
お墓を残すと子どもにどのような負担がかかる?
お墓は、一度建てれば何もしなくてよいものではありません。お墓を維持していくためには、継続的な管理と手続きが必要です。
負担の大きさは、お墓の場所、霊園や寺院の規則、家族構成などによって異なります。まずは、子どもにどのような役割が引き継がれる可能性があるのかを確認してみましょう。
定期的な墓参りや清掃
屋外にあるお墓には、落ち葉や雑草、砂ぼこりなどがたまります。墓石の水洗い、草むしり、供花の交換といった手入れも必要です。
子どもが近くに住んでいれば定期的に通えるかもしれませんが、遠方に住んでいる場合は、往復の交通費や移動時間が負担になります。高齢になるにつれて、長距離の移動や墓地内の坂道を歩くことが難しくなることも考えられます。
清掃代行サービスを利用する方法もありますが、その場合は依頼するたびに費用がかかります。
霊園や寺院へ支払う管理料
墓地によっては、園内の通路、植栽、水道、トイレなどを維持するための管理料が設定されています。年に一度支払う墓地もあれば、契約時に一定期間分をまとめて支払う墓地もあります。
管理料の金額や支払方法は、霊園や寺院によって異なります。現在のお墓にどのような費用がかかっているか分からない場合は、使用許可証や契約書、管理規則などを確認しておきましょう。
名義人が亡くなったあともお墓を残す場合、管理料の支払いは承継者に引き継がれるのが一般的です。支払いが長期間滞ると、墓地の規則に基づいて連絡や督促が行われる可能性もあります。
墓石の修繕や設備交換
墓石は長年にわたって風雨や地震の影響を受けます。目地のひび割れ、墓石の傾き、文字の汚れ、花立てや香炉の破損などが起きれば、補修が必要になることがあります。
修繕費用は、破損した場所や工事内容によって異なります。大がかりな工事になれば、子どもが石材店を探し、見積もりを比較し、工事に立ち会わなければならない場合もあります。
法要や親族との調整
お墓を守る人には、納骨、一周忌、三回忌などの法要に関する連絡が集まることがあります。寺院への連絡、親族への案内、日程調整、会食や供物の準備などが必要になる場合もあるでしょう。
法要をどこまで行うかは家庭や宗派によって異なりますが、親族間で考え方が違うと、承継した子どもが調整役を担うことになります。
名義変更や承継の手続き
お墓の名義人が亡くなった場合は、霊園や寺院で使用権の承継手続きを行うことがあります。戸籍謄本や住民票、墓地使用許可証などの提出を求められる場合があり、必要書類は管理者によって異なります。
民法では、墳墓や祭具などは通常の相続財産とは別に、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が承継すると定められています。※2
そのため、子ども全員がお墓を共同で相続するとは限りません。誰がお墓を引き継ぐのかを決めていないと、親が亡くなったあとに家族で話し合う必要が生じます。
将来の墓じまいを子どもが行う可能性もある
子どもがお墓を引き継いでも、その次の世代が管理できるとは限りません。子どもに子がいない場合や、親族が遠方に住んでいる場合は、将来的に子ども自身が墓じまいを判断する可能性があります。
墓じまいには、親族との話し合い、遺骨の移転先探し、行政手続き、墓石の撤去工事などが必要です。親が元気なうちに何も決めていなければ、子どもが事情を調べながら一つずつ進めなければなりません。





