親が病院で亡くなったとき、家族は深い悲しみの中で、すぐにいくつもの判断をしなければなりません。死亡診断書の受け取り、親族への連絡、搬送先の確認、葬儀社への連絡など、慣れない手続きが続きます。

その場で病院から葬儀社を紹介されることもあります。紹介された葬儀社に依頼すれば、搬送などをすぐに進められるため安心に感じるかもしれません。

ただし、家族葬を希望している場合は、そのまま葬儀まで依頼する前に、少し落ち着いて確認することが大切です。病院で紹介された葬儀社が悪いという意味ではなく、家族の希望や予算に合うかどうかを確認する必要があるからです。

病院で急いで決めてしまいやすい理由

病院では、亡くなったあと長く安置できないことがあります。そのため、家族は短時間で搬送先を決める必要があります。初めてのことで何をすればよいかわからず、病院から紹介された葬儀社にそのまま連絡する人も少なくありません。

しかし、搬送を依頼することと、葬儀全体を依頼することは分けて考えられる場合があります。まず搬送だけをお願いし、その後に葬儀の内容を相談するという考え方もあります。

悲しみの中では比較しにくい

親を亡くした直後は、冷静に費用やプランを比べる余裕がありません。担当者から説明を受けても、内容を十分に理解できないまま「お願いします」と言ってしまうことがあります。

あとになって見積書を見返し、「家族葬のつもりだったのに思ったより高い」「別の葬儀社にも聞けばよかった」と感じることもあります。

紹介された葬儀社に確認したいこと

病院で紹介された葬儀社に連絡する場合でも、すぐにすべてを決める必要はありません。まずは、搬送と安置について確認し、その後に家族葬の内容や費用を説明してもらいましょう。

家族葬に対応しているか

最初に、「家族葬を希望しています」とはっきり伝えましょう。親族中心で小さく見送りたいのか、通夜と告別式を行いたいのか、一日葬に近い形にしたいのかによって、提案される内容が変わります。

家族葬に慣れている葬儀社なら、呼ぶ範囲、式場の大きさ、料理や返礼品の有無なども含めて相談できます。

搬送だけの依頼ができるか

すぐに葬儀社を決められない場合は、搬送だけを依頼できるか確認する方法もあります。病院から自宅や安置施設へ搬送し、家族で落ち着いて葬儀社を選ぶ時間を作れる場合があります。

ただし、搬送だけの依頼ができるか、費用はいくらか、安置場所はどこかは葬儀社によって異なります。必ず事前に確認しましょう。

見積書を出してもらえるか

葬儀を依頼する前には、見積書を受け取り、内容を確認することが大切です。口頭の説明だけで決めると、あとから費用の認識がずれることがあります。

見積書には、プランに含まれるもの、別料金になるもの、人数によって変わる費用が書かれているか確認しましょう。わからない項目があれば、その場で質問して構いません。

家族葬を希望するなら事前相談が役立つ

病院で慌てないためには、親が元気なうちに葬儀社の相談先を確認しておくことが大切です。事前相談をしておけば、家族葬の流れや費用、搬送先、安置場所についてあらかじめ知ることができます。

事前に葬儀社を決めておく必要まではありません。ただ、候補をいくつか知っておくだけでも、いざという時の安心感は違います。

連絡先を家族で共有しておく

事前相談をした葬儀社がある場合は、連絡先を家族で共有しておきましょう。喪主になる人だけが知っている状態だと、急な場面で連絡できないことがあります。

親の入院先、かかりつけ医、菩提寺、葬儀社候補などをメモにしておくと、家族が動きやすくなります。

その場で判断する場合の注意点

どうしても急いで決めなければならない場合でも、最低限確認したいことがあります。

  • 搬送費用はいくらか
  • 安置場所はどこか
  • 安置費用は1日いくらか
  • 家族葬の見積もりを出してもらえるか
  • 契約前に家族で確認する時間を取れるか
  • 追加費用になりやすい項目は何か

これらを確認するだけでも、あとからの不安を減らせます。説明を急がせるのではなく、家族が理解できるように話してくれる葬儀社を選びましょう。

家族葬は「最初の連絡先」で差が出る

病院で紹介された葬儀社に依頼すること自体が悪いわけではありません。大切なのは、その葬儀社が家族の希望に合っているか、費用や内容を丁寧に説明してくれるかです。

家族葬を希望するなら、亡くなった直後に慌てて決めるのではなく、事前に相談先を確認しておくことが理想です。もし事前準備ができていない場合でも、搬送、安置、見積もり、追加費用を落ち着いて確認しましょう。

葬儀は一度きりです。あとで「家族葬にすればよかった」「葬儀社を比べればよかった」と感じないためにも、紹介されたからすぐ決めるのではなく、家族の希望に合うかを確認する姿勢が大切です。

出典:国民生活センター国民生活センター 見守り新鮮情報全日本葬祭業協同組合連合会