企業型DCの商品選び:おすすめを探す前に見るべき3つの視点
企業型DCの商品は、勤務先が契約している運営管理機関のラインナップから選びます。そのため、一般の証券口座のように自由にすべての商品を選べるわけではありません。商品選びで大切なのは、「人気商品」や「本命商品」を探すことより、自分の目的に合う配分を作ることです。
1. 元本確保型は安心だが、長期ではインフレに注意
元本確保型とは、定期預金や保険商品など、元本割れしにくい商品を指します。値動きが苦手な人にとっては安心感がありますが、長期の老後資金づくりでは、物価上昇によってお金の実質的な価値が目減りする可能性があります。
「企業型DC 元本確保型 もったいない」と言われることがありますが、すべての人にとって不適切という意味ではありません。退職が近い人、元本割れを極力避けたい人、生活防衛資金が少ない人にとっては、元本確保型を一部使う考え方もあります。一方、20年、30年と運用期間がある人は、投資信託を組み合わせる余地を検討してもよいでしょう。
2. オルカン・S&P500は「割合」で考える
企業型DCの商品ラインナップに、全世界株式型、米国株式型、先進国株式型などがある場合があります。全世界株式に近い商品は地域分散をしやすく、S&P500に連動する商品は米国大型株への集中度が高くなります。
どちらが常に有利とはいえません。全世界株式は地域分散を重視したい人、S&P500型は米国株の成長に期待したい人に向きやすい一方、米国比率が高くなるリスクもあります。迷う場合は、株式100%にするのか、債券や元本確保型を組み合わせるのかを先に考えると整理しやすくなります。
3. スイッチングは「相場予想」より「配分調整」
スイッチングとは、すでに積み立てた資産の商品を売却し、別の商品へ移す手続きです。毎月の掛金の配分を変える「配分変更」とは別の手続きです。
相場が下がったから慌てて売る、上がったから急いで買うという使い方は、タイミング判断が難しくなります。企業型DCでは、年齢が上がった、退職が近づいた、リスクを取りすぎている、元本確保型に偏りすぎているなど、資産配分を見直す目的で使うほうが現実的です。
企業型DCシミュレーションは「利回り」より続け方を見る
企業型DCのシミュレーションでは、毎月の掛金、運用期間、想定利回りを入力して将来額を試算します。たとえば、毎月1万円を20年間積み立てた場合、利回り0%なら元本は240万円です。年3%で運用できたと仮定すると、単純計算では約328万円になります。
ただし、これは将来の成果を約束するものではありません。実際の運用では価格が上下し、途中でマイナスになる時期もあります。企業型DCの利回り目安を考えるときは、「平均利回りが何%なら正解か」ではなく、どの程度の値動きなら続けられるかを確認することが重要です。
運用実績の平均は、そのまま自分の成績ではない
企業型DCの運用実績は、加入者ごとの商品選択、加入時期、配分、スイッチングの有無で大きく変わります。勤務先全体の平均や商品別の過去実績を見ても、それが自分の将来成績になるわけではありません。
確認したいのは、自分の資産がどの商品に何%入っているか、手数料は高すぎないか、退職までの期間に対してリスクを取りすぎていないかです。特に若い時期に初期設定のまま放置している場合は、元本確保型に偏っていないかを一度確認しておきましょう。
商品を選んだ後に見落としやすいのが、退職時の手続きと受け取り時の税金です。ここを間違えると、運用以前に損をする可能性があります。



