未公開株とは?個人の買い方・売買方法・上場後・税金・相続・評価額・詐欺対策までわかりやすく解説

未公開株は、証券取引所で日々売買される上場株とは仕組みが大きく異なります。「個人でも買えるのか」「上場したら利益が出るのか」「現在の株価はいくらなのか」「売却した場合の税金や確定申告はどうなるのか」「相続したときの評価額はどう計算するのか」といった疑問に加え、未公開株を使った詐欺的な投資勧誘にも注意が必要です。本記事では、2026年9月時点の金融庁、日本証券業協会、国税庁、会社法などの公表情報を基に、未公開株の購入方法から株価算定、譲渡、配当、上場、相続、税金まで順番にわかりやすく解説します。

スマートフォンとカラフルな積み木の棒グラフ

<この記事の目次>

  • 未公開株とは?上場株との違い
  • 個人が未公開株を買う方法
  • 株式投資型クラウドファンディングの仕組み
  • 未公開株のメリット・デメリット
  • 未公開株が上場する確率は?
  • 上場したら株はどうなる?
  • 未公開株の株価・評価額をどう計算する?
  • 未公開株の売買・譲渡で注意すること
  • 売却した場合の税金と確定申告
  • 未公開株の配当にかかる税金
  • 未公開株を相続した場合の評価
  • 未公開株詐欺の代表的な手口と対策

未公開株とは?証券取引所で売買されていない株式

未公開株とは、一般に証券取引所に上場していない会社の株式を指して使われる言葉です。「非上場株式」と呼ばれることもあります。

東京証券取引所などに上場している株式なら、市場が開いている時間には多くの投資家が売買でき、市場で成立した価格を株価として確認できます。

一方、未公開株には通常、そのような公開された取引所市場がありません。そのため、上場株のようにスマートフォンでリアルタイム株価を確認し、その場ですぐ売却するという仕組みではありません。

項目上場株未公開株
取引所での売買できる原則できない
リアルタイム株価ある通常はない
換金性比較的高い低い場合が多い
情報開示上場規則などに基づく開示あり上場会社とは異なる
譲渡制限通常の市場売買では原則なし定款による制限がある場合あり

未公開株には「今日の株価」がないことも多い

未公開株について「株価はいくら?」と考える場合、上場株とは意味が異なります。

未公開会社でも増資を行った際の発行価格、直近の第三者間取引価格、企業価値評価による算定額などは存在することがあります。しかし、それらは必ずしも「誰でもその価格ですぐ売買できる現在値」ではありません。

未公開株には、一つの絶対的な市場価格が存在しないことが大きな特徴です。

未公開株は個人でも買える?代表的な購入方法

個人が未公開株を取得できる場合はあります。ただし、通常の証券取引所で好きな銘柄を選ぶ方法とは異なります。

代表的なルートとして、次のようなものがあります。

  • 株式投資型クラウドファンディングを利用する
  • 日本証券業協会の株主コミュニティ制度を利用する
  • 会社の第三者割当増資などで株式を取得する
  • 既存株主から適法な手続きを経て譲り受ける
  • 役員・従業員などとして株式やストックオプション等を取得する

誰でも自由に参加できる「未公開株市場」が存在するわけではありません。また、未公開株の一般投資家への勧誘には金融商品取引法や日本証券業協会の自主規制が関係します。

個人には株式投資型クラウドファンディングという方法がある

株式投資型クラウドファンディングは、非上場会社が株式を発行し、インターネットを通じて多数の投資家から資金を集める仕組みです。

日本証券業協会によると、この制度は2015年5月に創設されました。株式を取り扱う事業者には金融商品取引業者としての登録などが必要であり、事業者は発行会社の財務状況、事業計画、資金使途などを審査します。

2026年現在の主な金額ルール

2026年9月時点の日本証券業協会の案内では、株式投資型クラウドファンディングによって同一会社が1年間に調達できる金額は5億円未満です。

一般の個人投資家については、同一会社への投資額は一律50万円だけではなく、現在は財産・収入の状況に応じた上限が導入されています。

具体的には、同一発行会社について、原則として200万円を超えない範囲で財産状況に応じた額、または50万円のいずれか高い額が上限となります。事業者によっては独自に50万円までとしている場合もあります。

また、申込みの日から8日間は申込みの撤回または契約解除ができる制度となっています。

クラウドファンディングで買えば安全という意味ではない

登録事業者が審査しているからといって、会社の成功や上場、元本が保証されるわけではありません。

日本証券業協会も、株式投資型クラウドファンディングで取得する株式は取引所に上場しておらず、換金性が著しく乏しいことを注意点として明示しています。

株主コミュニティという売買制度もある

日本証券業協会の株主コミュニティは、非上場株式の取引や換金ニーズに対応するため2015年に創設された制度です。

証券会社等が銘柄ごとにコミュニティを組成し、そのコミュニティに参加する投資家の間で取引する仕組みです。

会社の役員・従業員・既存株主・取引先などのほか、一定の条件のもとで非上場企業への投資を希望する人が参加するケースがあります。

ただし、すべての未公開会社が株主コミュニティの対象になっているわけではありません。

未公開株のメリット

未公開株には、上場株とは異なる特徴があります。

  • 企業の早い成長段階から株主になれる可能性がある
  • 企業が成長すれば株式価値が上昇する可能性がある
  • IPOやM&Aなどで換金機会が生じる可能性がある
  • 企業や事業を株主として支援できる
  • 会社が配当を実施すれば配当を受け取れる場合がある

特に成長企業では、投資した時点より企業価値が高まる可能性があります。

ただし「未公開株だから大きく値上がりする」という関係はありません。企業価値が下がったり、事業を継続できなくなったりする可能性もあります。

未公開株のデメリット|最大の問題は売りたいときに売れないこと

未公開株では、次のリスクを理解しておく必要があります。

  • 証券取引所で自由に売却できない
  • 買い手が見つからない可能性がある
  • 投資額を大きく失う可能性がある
  • 上場企業より入手できる情報が限定される場合がある
  • 株価を客観的に判断しにくい
  • 新株発行によって持株比率が低下する可能性がある
  • 配当が支払われないことがある
  • IPOが実現しない可能性がある
  • 株式に譲渡制限が付いている場合がある

特に「含み益はあるように見えるが売却できない」というケースは未公開株特有の問題です。

未公開株で特に誤解されやすいのが「上場予定=値上がり確実」という考え方です。上場確率と株価評価の本当の仕組みを次ページで確認します。