
未公開株が上場する確率は何%?一律の数字は存在しない
「未公開株は何%の確率で上場するのか」という疑問に対し、すべての未公開会社に共通する公的な上場確率はありません。
未公開株であるという事実だけから、IPOできる確率を数字で算出することはできません。
創業直後の会社、長年非上場を維持している会社、IPO準備中の会社、そもそも上場する意思がない会社まで、すべて「未公開株」に含まれるからです。
そのため、インターネット上で「未公開株の○%が上場する」などの数値を見る場合は、どの企業を母集団としているのか、どの期間を対象としているのかを確認する必要があります。
「上場準備中」と「上場決定」は違う
会社が将来的なIPOを目標としていても、実際の上場には証券取引所の審査などが必要です。
事業計画の変更、市場環境、業績、資本政策などによってIPO計画が変更・延期・中止される可能性もあります。
したがって、「上場を目指している」という説明と「上場が確定している」という説明は明確に分けて考える必要があります。
未公開株が上場したらどうなる?
保有企業がIPOを実現すると、株式が証券取引所で取引できる環境が整い、従来より売買しやすくなる可能性があります。
ただし、保有していた株が必ず何倍にも値上がりするわけではありません。
- 上場時の公開価格が投資時の取得価格を上回る場合
- 取得価格とあまり変わらない場合
- 取得価格を下回る場合
いずれもあり得ます。
また、IPOまでに株式分割、増資、種類株式の転換などが行われている場合、最初に購入したときと1株あたりの数字が変わっていることがあります。
上場しただけで直ちに税金が発生する?
一般的には、単純に保有会社が上場したという事実だけで、株を売却していない個人に直ちに譲渡益課税が発生するわけではありません。
実際に株式を売却した場合には、取得価額との差額などを基に譲渡損益を計算します。
ただし、上場前後に株式交換、合併などの組織再編が行われるケースでは税務上の取扱いが異なる可能性があるため、個別確認が必要です。
未公開株の株価はどう決まる?「1つの正解」がない理由
上場株には市場価格がありますが、未公開株には継続的な取引所価格がありません。
そのため、何の目的で価値を知りたいのかによって、使われる「株価」が変わる場合があります。
| 目的 | 考え方 |
|---|---|
| 新株を購入する | 会社が設定した発行価格 |
| 株主同士で売買する | 当事者間の交渉価格など |
| M&A・企業価値評価 | 企業価値評価手法による算定 |
| 相続・贈与 | 国税庁の財産評価基本通達に基づく評価 |
相続税上の評価額と、実際に第三者へ売却できる価格が同じとは限りません。
未公開株の評価方法|DCF・類似会社・純資産など
日本公認会計士協会の企業価値評価ガイドラインでは、企業価値評価の代表的な考え方を大きく次の3つに分類しています。
1.インカム・アプローチ
会社が将来生み出す利益やキャッシュフローを基に評価する方法です。
代表例にDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)があります。将来のフリーキャッシュフローなどを予測し、リスクを考慮した割引率で現在価値に換算します。
将来成長への期待を反映しやすい一方、売上予測、利益率、成長率、割引率などの前提によって評価額が変わります。
2.マーケット・アプローチ
上場している類似企業や類似したM&A事例などと比較して企業価値を評価する考え方です。
同業上場会社の企業価値と利益・売上高などの関係を参考にする方法などがあります。
3.ネットアセット・アプローチ
会社が保有する資産と負債に着目して株主価値を考える方法です。
代表的には簿価純資産や時価純資産をベースに評価する方法があります。
実際には会社の業種、成長段階、資産構成、収益性、評価目的などによって適する手法が異なるため、単純に「純資産÷株数だけで正しい株価が出る」とはいえません。
相続税で使う未公開株の評価方法は別ルール
相続や贈与では、国税庁が定める「取引相場のない株式」の評価を使用します。
2026年4月1日現在の国税庁の取扱いでは、株主の立場や会社規模などによって評価方法が変わります。
| 会社・株主の区分 | 原則的な評価方法 |
|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準方式 |
| 中会社 | 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用 |
| 小会社 | 純資産価額方式 |
| 一定の少数株主等 | 配当還元方式 |
類似業種比準方式とは?
国税庁が公表する類似業種の株価を基礎に、評価対象会社の1株あたりの配当・利益・簿価純資産などを比準して評価する方法です。
純資産価額方式とは?
会社の資産・負債を原則として相続税評価額に洗い替え、純資産を基に株価を算定する方法です。
配当還元方式とは?
一定の少数株主等が取得した株式に利用される特例的な方法で、年間配当額を一定の考え方で還元して評価します。
なお、土地保有特定会社、株式等保有特定会社、開業後3年未満の会社などには別の取扱いが適用される場合があります。
未公開株の譲渡は自由にできる?定款を必ず確認
未公開会社の株式では譲渡制限が設定されているケースがあります。
会社法第136条では、譲渡制限株式の株主が他人へ株式を譲ろうとする場合、会社に対して取得を承認するかどうかの決定を求める手続きが定められています。
そのため、売り手と買い手だけで「100万円で売ります」「買います」と合意すれば必ず完了するとは限りません。
未公開株を譲渡するときは、少なくとも次の点を確認します。
- 定款に譲渡制限があるか
- 会社の承認が必要か
- 売買契約の内容
- 株主名簿の変更手続き
- 売買価格の妥当性
- 税務上の取扱い
会社法上の手続きと税務上の評価は別の問題なので注意が必要です。
未公開株では、買うとき以上に「売るときの税金」と「相続時の評価」が複雑です。さらに金融庁が警告する典型的な詐欺手口も次ページで整理します。




