親の実家を相続したらどうする?売却・居住・賃貸など現実的な選択肢

相続した家を売る前に確認したい税金と制度

親から引き継いだ家や土地を売る場合、売却価格だけでなく税金も確認しておきたいポイントです。一定の要件を満たす場合には税負担を軽減できる特例がある一方、売却時期や相続後の使い方によって利用できなくなることもあります。

親が住んでいた空き家には3,000万円特別控除がある

相続または遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋やその敷地を売却し、一定の条件を満たした場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。2026年9月時点では、対象となる譲渡期間は2027年12月31日までです。

2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、一人当たりの控除上限が2,000万円になります。

対象となる家屋は、原則として1981年5月31日以前に建築されていること、区分所有建物ではないことなど複数の条件があります。また、相続してから売却までに事業、賃貸、居住のために使用していないことなども要件となります。

そのため「ひとまず人に貸して、後から売ればよい」と考えると、この特例を利用できなくなる場合があります。売却と賃貸の両方を検討している場合は、先に適用条件を確認することが重要です。

相続税を払った人は取得費加算の特例も確認する

相続や遺贈によって取得した土地や建物について相続税が課税され、その財産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税のうち一定額を譲渡所得の計算上の取得費へ加算できる制度があります。

対象となる期間は、相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。適用には確定申告が必要です。ほかの特例との適用関係もあるため、具体的な税額は税務署や税理士へ確認するとよいでしょう。

不要な土地には相続土地国庫帰属制度という選択肢もある

相続や一定の遺贈によって取得した土地については、条件を満たせば所有権を国へ帰属させる「相続土地国庫帰属制度」を利用できる場合があります。

申請時には土地1筆当たり14,000円の審査手数料が必要です。審査を経て承認された場合は、土地の性質などに応じて算出される負担金も納付します。

ただし、建物が建っている土地、担保権などが設定されている土地、境界や所有権について争いがある土地など、申請できない土地や承認されない土地があります。実家の建物ごとそのまま国へ渡せる制度ではありません。

相続放棄は「実家だけを手放す」制度ではない

相続そのものを希望しない場合には相続放棄という制度もあります。原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。

ただし、不要な家や土地だけを選んで放棄することはできません。相続放棄をすると、原則として預貯金などほかの相続財産についても相続人として引き継がないことになるため、財産全体を確認した上で判断する必要があります。

親の実家を引き継いだときは、まず家族が使う予定を確認し、現在の売却査定額と保有した場合の年間維持費を把握すると選択肢を比較しやすくなります。誰も住む予定がない場合でも、売却・賃貸・保有のどれが適しているかは家の状態や地域によって異なります。相続登記や税制には期限や条件もあるため、「いつか考える」のではなく、必要な手続きを確認しながら具体的な数字を集めることが重要です。

<参考サイト> 法務省 / 国税庁 / 国土交通省 / 裁判所 / SUUMO / HOME4U