信用リスクとは?デフォルトリスクとの違い・格付け・銀行や株式への影響・信用リスク量・管理方法までわかりやすく解説

信用リスクとは、お金を貸した相手や債券の発行会社、金融取引の相手方などの信用力が悪化し、約束された支払いを受けられなくなることで損失が生じるリスクです。「デフォルトリスクとは何が違う?」「格付けが高ければ安全?」「利回りが高い債券は信用リスクも高い?」「銀行ではどう管理する?」「株式投資にも影響する?」など、金融商品を理解するうえで欠かせない概念です。本記事では、金融庁、日本銀行、日本証券業協会、バーゼル銀行監督委員会、日本格付研究所などの2026年9月時点の公開情報を確認しながら、信用リスクの意味から評価基準、信用リスク量、カウンターパーティーリスク、管理手法まで平易に解説します。

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<この記事の目次>

  • 信用リスクとは?わかりやすく解説
  • 信用リスクとデフォルトリスクの違い
  • 信用リスクが高い・低いとはどういう状態?
  • 信用格付けの見方と注意点
  • 信用リスクと利回り・信用リスクプレミアムの関係
  • 銀行に信用リスクが与える影響
  • 信用リスク量とは?PD・LGD・EADを解説
  • 株式投資にも信用リスクは影響する?
  • カウンターパーティーリスクとの違い
  • 信用リスクを管理する代表的な手法
  • 個人投資家向け信用リスクチェックリスト

信用リスクとは?「相手が約束どおり払えないリスク」

信用リスク(Credit Risk)とは、貸したお金や債券の元本・利息などについて、相手の経営悪化や倒産などにより、約束どおり支払いを受けられず損失が生じる可能性を指します。

バーゼル銀行監督委員会は、信用リスクを基本的に「借り手や取引相手が合意した条件どおりに義務を履行できなくなる可能性」と説明しています。

日本証券業協会も社債について、発行企業などが倒産した場合に元本や利息が支払われない場合があることを「信用リスク」と説明しています。

たとえば、ある会社が5年後に100万円を返す社債を発行し、毎年利息を支払う契約になっていたとします。その会社が経営不振に陥り、利息や100万円の元本を予定どおり支払えなくなれば、社債を保有する投資家に損失が生じる可能性があります。

これが信用リスクの最も分かりやすい例です。

信用リスクが存在する代表的な取引

  • 銀行から企業・個人への融資
  • 企業が発行する社債
  • 国や地方公共団体などが発行する債券
  • 売掛金・企業間信用
  • 金融機関同士の貸し借り
  • デリバティブ取引
  • 証券貸借・レポなど一定の金融取引

信用リスクは銀行だけの問題ではありません。社債を購入する個人投資家や、債券を組み入れる投資信託を保有する場合にも関係します。

信用リスクとデフォルトリスクの違いは?

信用リスクとデフォルトリスクは近い概念ですが、完全に同じ意味として扱わない方が正確です。

用語意味
信用リスク相手の信用力悪化や債務不履行によって損失が生じるリスク全般
デフォルトリスク元本や利息などが契約どおり支払われない「債務不履行」が発生するリスク

日本格付研究所(JCR)は、デフォルトについて、格付対象債務の元利金が当初の約定どおり履行されない状態などを含むものとして定義しています。

一方、信用リスクでは実際にデフォルトする前の信用力低下も重要です。

デフォルトしていなくても損失は発生する

たとえば100万円で購入した社債について、発行会社の業績が急速に悪化したとします。

まだ利息も元本も予定どおり支払われていたとしても、「将来返せなくなるのではないか」という懸念が強まれば、その社債を買いたい投資家は減り、市場価格が90万円、80万円と下落する可能性があります。

この段階ではデフォルトそのものは発生していませんが、信用力の悪化によって債券価格が下がっています。

日本証券業協会も、発行者の経営・財務状況や外部評価の変化により信用度が変化し、元利払いが滞るリスクだけでなく、債券価格が変動して売却損が生じる可能性について注意を促しています。

したがって、デフォルトリスクは信用リスクの中心的な要素ですが、信用リスクという言葉の方が広い概念として使われる場合があります。

信用リスクが高い・低いとはどういう状態?

信用リスクが「低い」というのは、一般に、元本や利息などを契約どおり支払える可能性が相対的に高いと評価される状態です。

反対に信用リスクが「高い」とは、財務悪化などにより、支払いが滞ったりデフォルトしたりする可能性や、デフォルト時の損失が大きくなる可能性が相対的に高い状態を指します。

信用リスクを評価するときに見る主な項目

  • 売上高・利益の推移
  • 営業キャッシュフロー
  • 現金・預金などの手元流動性
  • 有利子負債の額
  • 自己資本や純資産
  • 利払い能力
  • 債務の返済期限
  • 事業の安定性
  • 担保・保証の有無
  • 景気や業界環境
  • 信用格付け
  • 社債の市場価格・信用スプレッド

一つの数字だけで信用リスクを判定することはできません。同じ負債額であっても、毎年多額の現金を生み出す企業と、赤字が続いている企業では返済能力が異なります。

信用格付けとは?信用リスクを見る代表的な基準

信用格付けは、企業などの債務履行能力や、社債・ローンなど個別債務の履行確実性を、格付会社が一定の記号で示した評価です。

金融庁も、信用格付けが投資家の信用リスク評価の参考として金融・資本市場で広く利用されていると説明しています。

2026年9月時点では、日本では金融庁の登録を受けた信用格付業者が存在し、金融商品取引法に基づく制度の対象となっています。

JCRの長期格付けを例に見ると

格付けJCRによる大まかな意味
AAA債務履行の確実性が最も高い
AA債務履行の確実性が非常に高い
A債務履行の確実性が高い
BBB債務履行の確実性は認められるが、上位等級より将来低下する可能性がある
BB当面の債務履行に問題はないが、将来まで確実とはいえない
B債務履行の確実性に乏しく、懸念要素がある
CCC・CC・C債務不履行に陥る危険性が段階的に高い状態
D債務不履行状態を示す格付け

格付会社によって記号や定義には違いがあります。また同じ会社であっても、「会社全体への格付け」と「特定の社債への格付け」が異なる場合があります。

格付けが高ければ元本保証という意味ではない

信用格付けは将来の支払いを保証するものではありません。

日本証券業協会も、格付けは格付機関による評価であり、格付けだけで投資判断できるものではないと説明しています。

企業の経営状態が変化すれば格付けが引き下げられることもあります。反対に、財務状況の改善などによって格上げされることもあります。

一般にAAAやAAなど上位格付けほど信用リスクが低いと評価されていますが、「低い」と「ゼロ」は同じではありません。

そして信用リスクを理解すると、なぜ同じ5年債でも利回りが大きく違うのかが見えてきます。高い利回りの裏にある「信用リスクプレミアム」の仕組みを次ページで詳しく解説します。

「利回りが高い=お得」と単純には判断できない理由は、信用リスクを知ると明確になります。