将来のお金が気になっても、値動きの大きい商品には手を出しづらい。そんな人ほど、とりあえず預金に置いておく選択をしがちです。もちろん預金は家計の土台ですが、すべてのお金を同じ場所に置くと、使い道の違う資金が混ざってしまいます。

大切なのは、「預金か、それ以外か」で考えることではありません。いつ使うお金なのか、途中で動かす可能性があるのか、保障が必要なのかを分けて考えると、低リスクでも選び方に差が出てきます。

預金だけでは整理しにくい理由

使う時期の違うお金が混ざりやすい

生活費の予備、急な出費への備え、老後に向けた準備。これらをすべて同じ口座に置いていると、残高はあっても「本当に使ってよいお金」が見えにくくなります。貯めているつもりでも、いざ必要なときに切り崩してしまい、増えた実感を持ちにくくなる人は少なくありません。

預金は便利だが、役割は万能ではない

預金の強みは、必要なときにすぐ動かせることです。一方で、目的を決めて長く置いておくお金まで同じ感覚で扱うと、家計の中で優先順位があいまいになります。お金の置き場所を分ける意味は、利回りの競争よりも、まず家計の見通しを整えることにあります。

「安全」の意味もひとつではない

預金は安全性の高い置き場所ですが、保護の仕組みにはルールがあります。金融庁によると、利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金等は、預金者1人あたり1金融機関ごとに、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。安全性を重視する人ほど、「どこに置いているか」まで含めて見ておきたいところです。

低リスク派が考えたい3つの置き場所

置き場所向きやすいお金見ておきたい点
預金生活防衛資金、近いうちに使うお金出し入れしやすい反面、目的が混ざりやすい
個人向け国債すぐには使わないが、安全性を重視したいお金1万円から購入でき、原則1年経過後に中途換金可能
貯蓄型保険保障を持ちながら、目的を決めて積み立てたいお金途中解約では受取額が少なくなることがある

生活防衛資金はまず預金で持つ

急な病気、家電の買い替え、収入減などに備えるお金は、まず預金で確保しておきたい部分です。ここは増やすことより、すぐ使えることが優先されます。低リスク派でも、この部分まで他の手段に回してしまうと、かえって家計が不安定になりやすくなります。

しばらく使わないお金は、個人向け国債も候補になる

元本割れを強く避けたい人にとって、個人向け国債は候補のひとつです。財務省によると、個人向け国債は1万円単位で購入でき、発行から1年経過後は原則として中途換金が可能です。すぐに使う予定はないものの、長期で完全に固定してしまうのは不安という人にとっては、預金以外の選択肢として考えやすい商品です。

保障も必要なら、貯蓄型保険の出番がある

教育費、老後資金、家族への備えなど、目的がはっきりしていて、なおかつ保障も持ちたい場合には、貯蓄型保険が選択肢に入ります。毎月自動で積み立てられるため、自分で残すのが苦手な人には相性がよい面もあります。ただし、生命保険文化センターでも、契約後短期間で解約したときの解約返戻金は、まったくないか、あってもごくわずかと案内されています。出し入れの自由さを重視するお金とは分けて考える必要があります。

迷ったときは「使う時期」で分ける

近いうちに使うお金

1年以内に使う可能性があるお金や、何が起きても触れるようにしておきたいお金は、預金で持つほうが扱いやすくなります。安全性だけでなく、流動性も大切です。

時期は未定だが、急いで使わないお金

数年単位で使わない見込みのお金は、預金に置いたままにするだけでなく、ほかの低リスク手段と役割を比べる余地があります。大切なのは、増やすことを急がず、減らしにくさと続けやすさを優先することです。

目的が決まっているお金

老後、教育費、万一への備えなど、使う理由がはっきりしているなら、貯蓄型保険のように目的と積立を結びつける方法が合うことがあります。ただし、家計に無理のない保険料で続けられるかは別問題です。低リスクの商品でも、途中でやめれば弱いという点は変わりません。

低リスク派こそ、全部を同じ場所に置かない

預金を中心に考えること自体は、決して間違いではありません。問題は、すぐ使うお金も、10年後のためのお金も、保障のためのお金も、全部を同じ感覚で置いてしまうことです。低リスクで備えたい人ほど、「何のためのお金か」を先に分けるだけで、選択肢はかなり整理しやすくなります。

預金は土台、個人向け国債は中間、貯蓄型保険は保障つきの積立。そんなふうに役割で考えると、自分にとって無理のないお金の置き方が見えやすくなります。

出典:金融庁「預金保険制度」

出典:財務省「個人向け国債の中途換金についてのよくある質問」

出典:生命保険文化センター「解約する場合の留意点は?」