まとまったお金ができたとき、「とりあえず定期預金にしておく」という人は少なくありません。元本割れの不安が少なく、仕組みもわかりやすいため、低リスクで持ちたい人には自然な選択です。

ただし、定期預金が合うお金と、貯蓄型保険のほうが考えやすいお金は同じではありません。どちらが得かで選ぶより、「何のためのお金か」で比べるほうが失敗しにくくなります。

まず知っておきたい、定期預金と貯蓄型保険の違い

比較ポイント定期預金貯蓄型保険
主な役割お金を安全性重視で預ける保障を持ちながら目的別に積み立てる
お金の動かしやすさ比較的把握しやすい途中解約では不利になることがある
保障なし死亡保障や年金受取などの商品がある
向きやすい目的数年以内の予定資金、余裕資金の置き場老後資金、教育費、家族への備え

定期預金は、あくまで「預金」です。金融庁によると、定期預金などの一般預金等は、預金者1人当たり1金融機関ごとに、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が預金保険制度の保護対象です。一方、貯蓄型保険は保険商品であり、保障と積立が一緒になっている点が大きく違います。

定期預金が向いているのはこんなお金

使う時期が近いお金

数年以内に使う予定があるお金は、定期預金のほうが考えやすい場面があります。住宅関連の費用、車の買い替え、学費の準備など、使う時期が見えているお金は、まず減らさないことが優先です。

保障がいらないお金

定期預金には死亡保障や年金受取の機能はありません。逆にいえば、純粋にお金を置いておきたいだけなら、保険の機能が付いていないぶん、目的はシンプルです。「必要なのは保障ではなく、置き場だけ」という人には整理しやすい選択です。

いつでも方針を変えたいお金

将来の家計がまだ固まっておらず、教育費や住み替えなどの大きな支出が読みにくい時期は、動かしやすさを重視したいことがあります。保険のように長く続けてこそ意味が出やすい商品より、まずは預金で様子を見るほうが合う人もいます。

貯蓄型保険が向いているのはこんなお金

保障も一緒に持ちたいお金

家族への備えをしながら積み立てたい、老後資金を計画的に用意したいという場合には、貯蓄型保険が候補になります。生命保険文化センターによると、終身保険や養老保険、個人年金保険などには、受け取り方や保障内容に違いがあります。つまり、単なる「お金を置く先」ではなく、目的と保障を合わせて設計する商品です。

自分で残すのが苦手なお金

毎月余ったら貯めるつもりでも、結局使ってしまう人は少なくありません。貯蓄型保険は、半ば自動的に積み立てる形になりやすいため、目的別に残したい人には相性があります。とくに「老後用だけは別枠で守りたい」と考える人には、家計の中で区切りをつけやすい面があります。

長く置く前提のお金

ただし、貯蓄型保険は途中でやめると弱い商品です。生命保険文化センターでも、解約返戻金は通常、払い込んだ保険料総額より少なく、契約後短期間の解約ではまったくないか、ごくわずかな場合があると案内しています。近いうちに使う可能性があるお金には向きません。

比べるときに見落としやすい3つのポイント

1.利回りではなく、まず役割を見る

定期預金と貯蓄型保険を並べると、つい「どちらが増えるか」に意識が向きます。しかし、本当に大切なのは役割です。定期預金はお金を保管する手段、貯蓄型保険は保障つきで目的別に積み立てる手段です。同じ土俵で利回りだけ比べると、判断を誤りやすくなります。

2.途中で動かす可能性を考える

転職、介護、進学、住み替えなど、家計は想定どおりに進まないことがあります。途中で動かす可能性が少しでもあるなら、貯蓄型保険に入れる金額は絞ったほうが考えやすくなります。流動性が必要なお金まで固定してしまうと、あとで苦しくなりがちです。

3.保障が本当に必要かを確認する

独身で扶養家族がいない人と、家族を支える人では、保険に求める役割が違います。保障があったほうが安心できるのか、それともまずは現金性を優先したいのかで、選ぶべき手段は変わります。保険が向くのは、保障も必要で、かつ長く積み立てる前提がある場合です。

「損しているか」より、「合っているか」で見る

定期預金のままだから損、貯蓄型保険なら得、と単純に分けられるものではありません。近いうちに使うお金や、家計の予備費なら定期預金のほうが合いやすいことがあります。反対に、老後や家族への備えのように、長く守りながら積み立てたいお金は、貯蓄型保険のほうが役割に合うことがあります。

比べるときは、増え方だけではなく、「いつ使うか」「途中で動かすか」「保障が必要か」の3点を先に整理すること。それだけで、自分にとってどちらが自然な置き方かが見えやすくなります。

出典:金融庁「預金保険制度」

出典:生命保険文化センター「定期保険・養老保険・終身保険の違いは?」

出典:生命保険文化センター「解約する場合の留意点は?」