「毎月1万円なら何とかできそう」と思っても、それを保険で続けた場合にどれくらいの備えになるのかは、意外とイメージしにくいものです。預金なら金額はそのまま積み上がっていきますが、貯蓄型保険は保障がつくぶん、同じ1万円でも受け取り方や増え方の見え方が変わります。

ここでは、毎月1万円を長く続けた場合の考え方を、生活者目線で整理します。なお、実際の受取額は、契約年齢、性別、保険種類、払込期間、商品ごとの設計によって変わります。以下はまず、家計の感覚をつかむためのシンプルな見方として読んでください。

まずは金額感をシンプルに確認する

継続期間毎月の払込額払込総額の目安
10年1万円120万円
20年1万円240万円
30年1万円360万円
35年1万円420万円

単純計算では、毎月1万円でも20年で240万円、30年で360万円になります。だからこそ、1万円は小さく見えても、続けると将来の備えとしては決して軽くありません。貯蓄型保険を考えるときも、まずはこの「長く積むと大きい」という感覚を持っておくと判断しやすくなります。

貯蓄型保険で1万円を積むと、預金と何が違うのか

保障がつく代わりに、自由に引き出すお金ではない

生命保険文化センターによると、終身保険は一生涯の死亡保障を持つ保険で、養老保険は満期時に満期保険金を受け取れる保険です。どちらも「貯蓄機能のある保険」ですが、預貯金のように預けたお金がそのまま増えて戻るとは限りません。つまり、毎月1万円の中には、積立だけでなく保障の役割も含まれています。

商品によって、受け取り方がかなり違う

同じ1万円でも、終身保険なら解約返戻金として受け取る形、養老保険なら満期保険金として受け取る形、個人年金保険なら将来の年金として受け取る形が中心になります。生命保険文化センターでも、個人年金保険は払い込んだ保険料を原資に、契約時に定めた年齢から年金を受け取る仕組みと案内されています。

毎月1万円を続けたときの考え方を3つに分ける

10年続けた場合

払込総額は120万円です。短すぎるとは言えませんが、貯蓄型保険は長期で考える商品が多いため、10年程度だと「思ったほど増えない」と感じることがあります。教育費や住宅関連費など、近い将来に使う可能性が高いお金なら、預金のほうが動かしやすい場面もあります。

20年続けた場合

払込総額は240万円です。老後資金の土台や、万一の備えを持ちながら目的資金を作るという考え方がしやすくなる水準です。働いている間に1万円を長く固定できるなら、家計の中で「将来用の席」を作る意味は大きくなります。

30年続けた場合

払込総額は360万円です。30代から60代まで、あるいは40代から70代手前までといった長い視点で続けられると、貯蓄型保険を使う意味は出やすくなります。個人年金保険のように老後の受取開始年齢を決める商品は、こうした長期の備えと相性を考えやすいタイプです。

シミュレーションを見るときの注意点

払込総額と受取額は同じではない

「毎月1万円で30年なら360万円だから、そのまま戻る」とは考えないほうが安全です。保障コストや商品設計があるため、受取額は商品ごとに違います。生命保険文化センターも、養老保険や終身保険は貯蓄機能がある一方で、預貯金のように増えて戻るとは限らないと案内しています。

途中解約は不利になりやすい

生命保険文化センターによると、解約返戻金は通常、払い込んだ保険料総額より少なく、契約後短期間の解約では、まったくないか、ごくわずかな場合があります。毎月1万円を保険に回すなら、「困ったらすぐ戻すお金」ではなく、「長く置いておくお金」として考えることが大切です。

1万円が重いなら、無理に合わせない

家計によっては、毎月1万円を固定すると苦しくなることもあります。その場合は、5,000円から始めて増額できる時期を待つほうが現実的です。貯蓄型保険は、途中でやめずに続けられることのほうが重要だからです。

毎月1万円が向く人、向きにくい人

向く人

家族への備えも持ちたい、老後に向けて別枠で残したい、預金だとつい使ってしまう、という人には向きやすい考え方です。仕組みとして先に分けることで、将来用のお金を生活費と混ぜにくくできます。

向きにくい人

生活防衛資金がまだ薄い人、数年以内に大きな支出予定がある人、毎月の家計がすでにぎりぎりの人は慎重に考えたいところです。こうした場合は、まず預金を優先して、家計に余白ができてから保険を検討する流れのほうが無理が出にくくなります。

毎月1万円を貯蓄型保険で続けると、10年、20年、30年で備えの厚みは大きく変わります。ただし、大事なのは「1万円払えるか」だけではありません。そのお金を、保障つきで長く置きたいのか、自由に使える形で持ちたいのかを分けて考えることです。シミュレーションは入口にすぎません。実際には、目的、年数、家計の余裕に合うかまで見て選ぶことが、後悔しにくい考え方になります。

出典:生命保険文化センター「解約する場合の留意点は?」